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モードェモード No.330
2005春夏 パリオートクチュールコレクション

kiryuyrik 掲載記事


デビューして3年。設立当初よりプレス担当者と2人で
コツコツ地盤固めをしてきたキリュウキリュウが、1月末から
2月初めにかけてパリで開催されたメンズウェアの合同展示会
「CASABO HOMME(カサボ・オム)」に初のブースを出展した。
1年にもおよぶ入念なリサーチを経て、念願の海外進出を
果たしたデザイナーに、カサボ会場でお話をうかがった。




キリュウキリュウはもともとレディスからスタートしたブランドだが、バイク
愛好者であるデザイナーが”自分のために”と始めたバイカーブルゾンやパンツを
核とするメンズラインが、たちまちスタイリストやミュージシャンたちの間で評判を
呼び、今回の出展の足がかりを作った。海外進出の構想はちょうど1年前から、
周囲から寄せられた意見をもとに考え始めたという。

「デビュー当時から応援して下さっているバイヤーさんから
「海外むきじゃない?」って言ってもらった事があって。確かに
日本国内で開催される合同展には、なかなか自分のテイストに
ピッタリくるものが見つからなくって迷っていたんです。一度、
某合同展に参加したことがあるんですが、周りは日本のブランド
ばかりだというのに、僕のブースだけかなり浮いてましたね(笑)。
それ以来、合同展には一切参加してこなかったんです。東京では
小さくてもいいから、個人で展示会を開いた方がいいな、と。
その方がお客様にも、ゆっくり作品を見ていただけるし」



デザイナーの高柳は、文化服装学院で服作りの基礎をみっちりと学んだ後、
多くの服飾専門学生にとっての憧れの就職先で超難関といわれるヨウジ・ヤマモトに入社。
<ワイズ>レディスに配属となり、企画からパターンまで、服作りに対するすべての
プロセスを、プロの現場でさらに一から学びなおす貴重な機会を得た。

「ヨウジにいた頃からコレクションのたびに出張があったので、パリには
10数回滞在した経験があるんです。でもあの頃は、組織の中の一員として
働いていたということもあって、現地に着くや”アレもやんなきゃ、コレも
やんなきゃ”って常に何かに追われてて…。とにかく上の人のために、失敗は
絶対に許されない、っていう精神的なプレッシャーが大きかったですね。
その時と比べたら、今回はむしろ落ち着いた気分でいられんですよ。いざ自分の
こととなると、逆にほかのものを見なきゃ、という気持ちのほうが強く働いて
しまって。たとえば、展示会の期間中にも暇が出来れば他のブランドのブースを
覗いてみたり、街なかでも道行く人を観察したり。メトロに乗っているときでも、
「この人に僕の作ったあの服を着せたら、どんな風に移るかな?」って想像を
膨らませながら、一人でじっくり考えごとをしたり…。以前は出来なかったことも、
今になってようやく、ゆとりを持って出来るようになりましたね。」



約2週間にわたる今回のぱり滞在中に、色んなものを見て、
少しでも多くのものを吸収して帰りたいと語る高柳。
3月には東京でレディスを中心とした秋冬ものの展示会を
開催する予定だが、今回の滞在で得たものは今後どのように
反映されるのだろうか。

「僕自身、未だに(今回の初出展を)実はそんなに強く
意識していないんです。だってパリに進出を果たしたから
といって、ものづくりのスタンスそのものが根本的に
変わるわけではないですから。ただ海外に出展すると
いうことは、今後必然的に、取引先に外国人のお客様が
加わる可能性も出てくるわけですから、今までより
ワンサイズ大きいものを増やしたりといった具体的な課題は
ありますよね。あと、今回こちらに来て改めて感じたのは、
とにかく寒さがハンパじゃない! だから、裏地の処理や厚めの
コートなど重衣料について、改めてきちんと取り組みなおす
必要があるな、と実感しましたね。」



常にクールな視点で物事を捉え、初心を忘れず服作りに真摯でいたいという彼。
ブースに並んだ新作を前にインタビューに答えるその表情には、
自信の創作に対する揺ぎない信念が滲みでている。

「やっぱり服って、お客様に着てもらって初めて完結するものじゃないですか。
日本を一歩出た瞬間から、西洋人との体型の違いとか、肌の色の違いとか、どうしても
気になってしまうんですよね。服にしたって、たとえ同じ色でも、東京で見るのと
パリで見るのとでは、全く違った色のように見えてくるし。でも、そのギャップを
何が何でも埋めなきゃ!って、鼻息荒く構えるつもりはないんです。今回の滞在中に
肌で感じたことを、あくまで自然体で受け止め、自分なりに咀嚼して徐々に作品に
反映していけたらな、というくらいの気持ちです」

パリでのインタビューから数日後、無事帰国したデザイナーに今回の
海外出展での成果を聞いたところ、海外のショップ2軒からオーダーが
ついた他、現地のショールームやプレス関係者からも問い合わせを受けるなど、
本人としても納得のいく、良い結果に終わったという。またビジネス面以上に、
「東京でぐずぐず悩んでいる時よりも、思い切って行動にでたことによって
学んだことは、今回のパリ滞在で得た人脈、経験と並んで大きい」とか。

次回の海外出展については「目下、検討中」とのことだが、
気分的には前向きな様子。これからの活躍がますます楽しみだ。


文章、写真共に © モードェモード

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