いびきと運動
運動は減量療法の大切な構成要素です。
このページでは、運動療法の基本的な考え方、注意点、効果の実例などについて解説します。
運動療法は両刃の剣
運動は、やりすぎれば筋肉や筋膜・腱・骨などの損傷をまねいたり、長期にわたれば慢性労に陥ったりして、その回復に時間を要します。
しかし、適度に運動を行えば加齢に伴う体力低下や身体機能の低下を予防できます。
この様に薬にもなり、その使い方を誤れば毒にもなると言うことです
メディカルチェック
詳細な説明はここでは省略しますが、道筋だけ示します。
理想的にはこのように個人に適したメニューが必要です。
運動処方
運動処方の内容は、検査結果から一方的ではなく患者さんと話し合って決めることになります。
栄養調査と栄養指導により誤った食習慣と過剰な摂取を改善し、適当な運動習慣を身につけて薬や病院のいらない生活を獲得しましょう。
肥満と運動療法についての考え方
肥満については前項のところで説明がありましたが少し補足します。
肥満のタイプ
体脂肪の測定
肥満は過剰な脂肪の蓄積ですが、脂肪量の測定には市販されているものから特殊な施設にしかない高額な装置まで多くの装置があります。
どの測定法にしても100%評価できるものはありません。しかし、いくつかの方法を組み合わせると80%位の評価が可能と思われます。
南福岡病院では、前述のBMI
やバイオインピーダンス法や皮脂厚から評価するキャリパー法、腹囲、腹部CT
などによって肥満タイプと体脂肪量を判定します。
体重から体脂肪量を差し引くと除脂肪量が分かり、標準量との比較で筋肉が多い過体重タイプ(レスラータイプ)か筋肉量が少ない不活動タイプかが推定できます。
睡眠時無呼吸症の肥満の特徴
ここに述べることは、確立されたデータに基づくものではありませんが、多くの無呼吸症の方に接して得られた印象について触れさせていただきます。
運動療法の効果
運動不足病には、次のような疾患があります。高血圧症・肥満症・高脂血症・高血糖症や高インスリン血症などの動脈硬化性疾患。脳血管疾患。心筋梗塞や狭心症などの心疾患。
腹部・腰部の筋力低下からの腰痛症。骨粗鬆症や脊椎疾患などの後退性の疾患。
その他神経症、自律神経不安定症候群などがあります。
肥満は、一部の疾患を除けば過食と運動不足の結果から生じます。単純に考えれば食べ過ぎたら、脂肪として身体に沈着する前に運動によって使ってしまえばよいことです。しかし現実には非常に困難で、多くの人が運動をしているにもかかわらず太ってしまうと言われます。それは次の事を比較してみれば理解できると思います。
<摂取エネルギー例>
日本医師会生涯教育シリーズ(平成3年6月):食事指導のABCより
内容 カロリー フランス料理フルコース(一例 1600 親子丼 620 かつ丼 860 天丼 690 うな丼 740 炒飯 740 ざるそば 310 きつねうどん 360 ラーメン 480 スパゲッティミートソース 630 焼き魚定食 610 すき焼き定食 1040 幕の内弁当 730 にぎり寿司(上) 650 にぎり寿司(並) 500 いなり寿司 620 ハンバーガー 390 ミックスサンドイッチ 420 ビール(大びん 630ml ) 246 ビール(中びん 500ml ) 195 黒ビール(中びん 500ml ) 230 缶ビール(350ml ) 137 焼酎25度(1合:180ml ) 254 清酒1級(1合:180ml ) 198 ウイスキー特急(ダブル1杯:60ml ) 150 ワイン(グラス1杯:60ml ) 45 梅酒(シングル1杯:30ml ) 42
<運動による30分消費エネルギー例> 体重70kg の場合
運動療法の実際(1991年4月)糖尿病の運動療法:佐藤祐造/押田芳治,南江堂より引用算出
内容 カロリー 散歩 100 平地歩行(60m) 110 平地歩行(80m) 160 平地歩行(100m) 230 軽いジョギング 290 ラジオ体操 120−230 ジャズダンス(普通) 320 自転車平地走行(10km/時) 170 自転車平地走行(15km/時) 250 階段登り 280 遊泳(クロール) 790 遊泳(平泳ぎ) 410 卓球(練習) 310 バドミントン(練習) 320 テニス(練習) 300 ゴルフ(練習) 180 サッカー(練習) 180−300 バレーボール(練習) 300−530 剣道(かかりげいこ) 1180 縄跳び 560 登山) 220−320
上記のように食事で600カロリー摂取するには、早食いの人では10分前後しか要せず、逆に同量のエネルギーを消費するには軽い運動で3時間も要し、縄跳びでは30分間も跳び続けなければならないのです。なお1kgの体重減量には7000kcalのエネルギーを消費することが必要とされています・
言い替えれば人の身体は、非常に燃費の良いエンジンと言え、少ないエネルギーで多くの運動や活動の持続が可能です。
このため減量では、運動療法より食事療法が効率的であると言えます。
しかし、食事療法のみで極端な減量をした場合、骨の堅さや筋肉量まで低下させ、筋力の低下や基礎代謝量の低下などを起こし、かえって減量しにくい状況をつくってしまいます。
最近の減量では、個人の身体状況に即した食事療法に適度な運動療法を併用させ食事療法による副作用を抑えることが必要とされています。
また、大蔵、田中らの報告(日本肥満学会誌第6巻第2号に掲載)では有酸素運動が皮下脂肪より内臓脂肪を特異的に減少させること、さらに食事療法に比べ約2倍の効率で内臓脂肪を減少させるとが証明されています。
この他に以下の運動効果が期待できるとされています。
- 食事療法と運動療法の併用でエネルギー消費が増加する。
- 運動療法により脂肪の減少(特に内臓脂肪)と除脂肪量の増加が出来る。
- インスリン感受性や高インスリン血症・糖及び脂質代謝を改善する。
- 運動による充実感や不安やうつ状態を改善する精神的効果が得られる。
- 乳酸抵抗性が向上し、より強い運動が可能になる。
- 心肺機能の改善によって同一運動に対して心拍数の減少や血圧の下降が生じ、より楽に運動が可能になる。
- 運動継続により最大酸素摂取量が増加し、持久力が向上する。
- 運動中の呼吸困難感や不安感が改善し日常生活活動の拡大やQOLの改善が期待できる。
- 運動誘発喘息が起こりにくくなる。